RAKUENOH strikes Back 2014/January

「塔/明るい夜」お蔭さまで連日の満席ありがとうございました。良い再スタートを切ることが出来ました。

セルフプロデュース1

「塔」とは西洋建築が入ってきてtowerの概念と統合されるまでは、「五重塔」のような仏教建築の建物を指していて仏教用語であった。語源は、サスクリット語のstupa(ストゥーパ)、…声に出して読んでみましょう、ストゥーパ、ストゥーパ…、卒塔婆、つまり「塔」とは「卒塔婆」がだんだん省略されたことに由来している。2011年のOi-SCALEの番外公演「オムニバスof OiOi Vol.3」の為に書下ろし、主宰の林灰二よりエレベーターホールを舞台にした作品との指定があって執筆。モダンスイマーズの古山憲太郎によって演出され初演された。「明るい夜」はその前年、2010年にポムカンパニーの旗揚げ公演「垂れ下がるロープ、手の中のカラビナ」の為に書き下ろし、その中で、主宰の松木円宏によって演出され初演された。「誰かの死を受け入れる猶予期間、あるいはその為の場所」を「夜」、しかも「闇(=病み)ではない」ところとして象徴的に描いた作品。2作品とも今回が初のセルフプロデュース公演、つまり作家自身の手で演出されるのはこの公演が初めてになる。初演時好評だった中編2本立てにて上演。

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ごあいさつ ― 越境ということについて ―

夢の中で僕は草原のような場所にいた。空は晴れ渡り遠くには森や林が長―く伸びていたけど僕の、立っている場所は風を感じるくらいしかない原っぱの真ん中。向こうから民族衣装のような、旅の装いのような人が歩いてきて横を通り過ぎて去ろうとした。僕は何かを質問したらしい。が、自分のことなのにそれは分からない。ただその男は、ここはちょうど二つの国の境界線で自分は、越境者だと告げて姿が見えなくなった。越境……、について考えてみる。

「越境」という言葉は、単に境界線を越える、という意味ではなく、国境など法的に定められた領界を“侵犯”するニュアンスが含まれる。立ち入り禁止の看板を無視して、もし見つかればライフルを向けられるイメージ。想像を膨らませる。……だとすれば「芸術」の仕事とは、常に「現在」という時代を「越境」することにあるのではないか? そう命題を立ててみた。今を越える、ということ。時代よりも先に次の世界に足を踏み入れること。科学や技術の世界だけでなく、社会を支える両輪の片割れとして、文化芸術の世界でもそんな部署を担当する人間が必要だろう。そんな風に考えてみた。もともと僕にとっての芸術のイメージとは、科学者が地道な実験を繰り返すのに似ていた。だからこんな風な発想にたどり着いたのもあまり不思議ではないように思う。僕には芸術全般のことは分からないけど舞台についてなら、長い間勉強をしてきた。劇作も演出もそろそろ100本近いから、言葉を扱う専門家と言っても差し支えないと思う。舞台制作という芸術の一端を担う者として、これだけ長くやってきている以上、もうそろそろそういう種類の仕事を意識しても良いのではないか? それが現在進行形の今の興味と言える。時の不可侵条約に守られた境界線を一歩でも半歩でも越える、ということ。誰も観たことない、経験したことのない何かに出会う為の作業。僕が舞台に向き合う時に考えるのは、そのような「越境」ということなのです。昔は、もっと相対的で曖昧な、うまく触らないと折れそうな何かを扱う仕事だと思っていた。けど、今では数学者が難しい数式に向き合うように、相対的な価値観を越えた絶対的な何か、強くて硬い強敵に向き合うイメージを持っている。繊細なだけでは足りない、圧倒的な何か……

などと書くと、面倒くさい、難しいことをやっていそうだけど、いえいえ、それを面白い作品を上演したい、って言うのです。今回は過去に自分で書いた作品を上演するので、批評性を持って、もっと面白くなるよう、何か新しいことにチャレンジする気持ちで臨みます。

草原に立っている。ラインなんて引かれていないから分からないが、そこはどうやら国境らしい。どこにも誰の姿も見えないが、遠くの矢倉からはライフルで狙われているかも知れない。風には僅かに鉄と火薬の匂いが混じっている。きょろきょろと周囲を見渡す。視線が一点に定まる。ああ、そうかぁ。行くべき方向、歩き出す道は見えている。後は時期を見計らうだけ。遠くから銃声が鳴り響く。ああ、さっきのあの男はもしかして失敗したのだろうか? 僕は考える。今はまだジリジリと考え続けている。続く。

久々に「楽園王」の本公演を行うことになりました。どうぞよろしくお願いします。」(長堀博士)

期間 2014/01/16 (木)~2014/01/19 (日)
劇場 タイニイアリス
出演
  • 大畑麻衣子
  • 小林奈保子
  • 小澤凌(デンキブラン)
  • 本堂史子(カリバネボタン)
  • 岩澤繭
  • 川島むー(お茶祭り企画)
  • 中島理乃
  • 石川綾子
  • 村田望
  • 工藤藍
  • 植村せい
  • 政井卓実
  • 松木円宏(ポムカンパニー)
  • 長田大史
  • 野沢ハモン
脚本
  • 長堀博士
演出
  • 長堀博士
サイト

http://rakuenoh20.net/

※正式な公式情報は公式サイトでご確認ください。

スタッフ 作/演出:長堀博士
身体訓練・アドヴァイザー:さひがしジュンペイ
演出助手:松木円宏(ポムカンパニー)
照明:南出良治
音響:齋藤瑠美子
美術:長堀博士
チラシ:小田善久
その他注意事項

タイニイアリス(東京都)

期間 2014/01/16 (木)~2014/01/19 (日)
タイム
テーブル
1月16日(木)19:30
1月17日(金)19:30
1月18日(土)18:00
1月19日(日)11:00/17:00
劇場 タイニイアリス
料金 2,000円 ~ 3,300円
【発売日】2013/12/01 (日)
前売(予約) 2800円/当日3300円
学生前売(予約) 2000円/学生当日2500円
・はじめて割り 楽園王を初めて観る方は500円引き。
・リピーター割り 「塔」「明るい夜」を2回目の方は1000円引き。初演も含みます。
チケット取扱

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